約2か月でTOEICを600点にした話

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この記事は、主に時間が空いた高校生や大学生向けに書いた、TOEIC経験談です。

 

目的は様々でしょうが、TOEICの点数を上げなくてはいけない人は多いと思います。

昔、私が受けたTOEICの点数は360点です。そんな私でしたが、約2か月みっちり勉強して一般的な大学生が卒業までに必要とされることの多い、600点を取得することができました。(最後に受けたのは3年前ですが、その時の点数は700点後半程度です)

Youtubeの広告のような宣伝文句となりましたが、決して楽な勉強法ではないうえ、かなりTOEIC特化の勉強法となっています。ですので、TOEICの点数を上げる必要がある方向けの記事になっているかと思います。ですが、この時期の勉強によって、私自身今の下地があると思っていますので、ぜひ英語初学者も参考にしてみてください。

手っ取り早く点数を上げたい人は一番最後の一番重要な勉強法だけ見てください。

 

 

当時の英語能力(大学入学前浪人時)

私の英語能力は

・中学英語は多分分かる。
・高校英語は微妙に分かる。
・英語は聞き取れない。
・よっぽど基本的な単語以外は覚えてないかもしれない。
・発音できない。
・読めない。
・「pardon」を「ぱらどん」って読んだり、「friend」を「ふりえんど」って覚えてる

という散々たるものでした。

高校時代は英語は教科書を暗記すれば点数が取れ、リスニングもなかったのでほとんど勉強していませんでした。センター試験の点数は筆記は50%、リスニングは40%程度だったと記憶しています。

大学を推薦で決めた私は、将来英語を使った仕事に就きたいと思い、TOEICの点数を意識した勉強を始めました。

 

リーディング 文法編

リーディングを勉強するとき、はじめ文法と単語に重きを置きました。文法書として「Forest」と「一億人の英文法」、「日本人の英語」、「TOEIC文法特急」を用いて勉強しましたが、「一億人の英文法」と「日本人の英語」、「TOEIC文法特急」を使った勉強を私はオススメします。

「Forest」は大学受験用の網羅的な文法書で、TOEICはもちろん、今後英語を活用していきたい人にとっても遠回りになってしまいます。「一億人の英文法」は実践英語を意識した作りとなっており、ページ数は多いですが平易な(というよりはくだけた)日本語で書かれていることが特徴的です。

 

初学者の方であれば、これのCD付も別途購入して勉強すると早い段階からリスニング対策となり、よいかもしれません。(私は使用していません)

 

「日本人の英語」は前記事でも紹介していますが、文法書ではなく新書です。しかし、英語の冠詞や単数形・複数形の使い分けなど、ネイティブが日本人英語の添削から見つけた日本人が苦手な部分について説明してくれています。スラッと読めますので、文法は完璧だという人もぜひ一読してみてください。

 

TOEIC文法特急は私がTOEICの点数を上げる上で最もオススメする一冊です。TOEICは時間が足りなくなる試験ですので、一問一問を解く時間を短縮しなくてはなりません。TOEICの問題の中で文法に関する問題、Part5,6はコンスタントに時間を短縮できる範囲です。

私は文法特急1を最終的には20周近くしたと思います。使い方も簡単で、ひたすらに口に出しながら問題を解いていくだけです。風呂やトイレ、通勤通学中にさらっと1周終らせるように使えば、試験時は条件反射のように文法問題を解くことができます。問題によっては本当に1秒もかかりません。

実はTOEICの文法問題で必要となるのは文法特急だけだと思います。文法書は長文を読む下地になりますが、なかなか文法問題に結びつけることは難しいです。

 

リーディング 単語編

次は単語になります。単語は勉強すべきではないという人もいらっしゃいますが、比較的簡単に勉強した気になれますし、サイズも手ごろなので持ち運びも容易でオススメです。

私が用いていた単語帳は「シス単」「金のフレーズ」「DUO」の3冊になりますが、私がオススメするのは「金のフレーズ」「DUO」になります。

シス単は大学受験時に買っていたので流用していましたが、受験向きです。

 

金のフレーズはTOEIC向きの単語帳になります。全てビジネス英単語で、受験で習う英単語でもビジネスでは違った意味でつかわれることが多いことがわかります。私は周回は重ねませんでしたが、かなりコスパはいい単語帳です。

 

 

DUOは単語列挙型や金のフレーズのように一文以下で構成される単語帳ではなく、一文から二文で構成される文章とそれに含まれる単語の意味から構成されています。

一文を覚えることによって複数の英単語が覚えられます。可算不可算やどういった場面で使われる英単語かなども非常にわかりやすく、私もそれなりに周回を重ねました。単語列挙型のものよりはかなり勉強しやすくなっていますし、退屈さも比較的感じにくいものでした。

問題としてCDが別売りなのが瑕でしたが、それでも効果ある単語帳です。英文になっているため、リスニング対策としてもかなり効果的でした。

 

長文対策は後述します。

 

リスニング

リスニングは(恐らく多くの人と同様に)最も苦手な分野でした。

とにかく私は先人たちの知恵を借り、着目した勉強法は発音と音読でした。発音できない英文は聞き取ることができないという話を聞いたため、「英語耳」を用いて徹底的な発音の確認と、「音読パッケージ」による運動記憶の形成を始めました。当時の記録では英語耳こそ20周近くしたようでしたが、音読パッケージは1周のみです。この理由は後述します。

 

英語耳はかなりシンプルな発音本ですが、その分無駄なことも少なくかなりやりやすい教材でした。

seeとsheなど、日本人が意識して発音を区別しなくてはいけない部分を明確にすることによって、この後の音読による勉強は効果的なものになったと思います。

 

音読を30回以上繰り返す勉強法を紹介したテキストです。音読パッケージは非常にタフな勉強法で挫折しやすいです。私自身もこの本を始めましたが、1周が終わるかどうかのところで挫折した記憶があります。

しかし、音読パッケージは絶大な効果があるものですので、是非やりたいものです。ということで、今の私が皆さんにオススメするテキストは「英会話・ぜったい音読シリーズ」です。

 

  

入門編は中学1,2年レベル、標準編は中学3年レベル、挑戦編は高校1年レベルとなっています。リスニングがまったく自信がない方は入門編をすることをオススメします。標準編、挑戦編は無理に行わなくても大丈夫です。標準編レベルは大丈夫だという方は音読パッケージにチャレンジしてみましょう。

なぜ私が音読パッケージをオススメするのではなく、ぜったいシリーズの入門編をオススメするのかというと、音読パッケージのテキストは英文は長いし難しいという、初学者にとってはレベルがかなり高いです。タフな音読の上、教材も難しいとなるとすぐに挫折してしまいます。

一方、ぜったいシリーズは英文も一番最初は1セクション73語しかありませんし、基本的な単語のみです。セクションを進めるごとに徐々に難易度が上がっていきますが、音読パッケージよりずっと優しいです。

このぜったいシリーズを音読パッケージの勉強法を用いて行うことをオススメします。

mutuno.o.oo7.jp

 

ぜったい音読シリーズにも独自の勉強法がありますが、あまりタフではなく刺激も少なく感じました。音読パッケージはこのぜったい音読シリーズの編者である國弘正雄さんの只管朗読という方法を参考にしてステップアップさせたものですので、同じ思想の方が関わったテキストであるといえます。ですので、問題なく音読パッケージによる方法を使ってください。

テキスト構成がよいのかわかりませんが、1冊だけでも驚くほど効果がでているように感じられます。

 

また、ぜったい音読シリーズのCDにはリピーティングが存在しません。

自分で作ってもいいですが、私は語学学習支援アプリである「Repete」を120円で購入して使っています。先ほど「Repete Plus」の存在に気づき、更にお金を出して買いました。 

nackpan.net

 

 

120円の「Repete」もapp storeにありますので、気になる方は調べてみてください。

 

私が行った具体的な方法は、ほぼ音読パッケージに準拠しています。

1周目 30回

  1. ディクテーション(リピーティングの音声を聞きながら)
  2. 5回見ながらリピーティング(発音が怪しいところをメモる)
  3. 15回音読する。
  4. 5回見ずにリピーティング
  5. 5回見ずにシャドーイング

2周目 20回

  1. 3回見ながらリピーティング
  2. 10回音読する。
  3. 4回見ずにリピーティング
  4. 3回見ずにシャドーイング

3周目以降は15回、15回、10回、10回とやっていき、合計100回になるように調整します。それぞれの回数は自分なりに調整してみてください。

音読パッケージは刺激を入れるためにリピーティングなどが入っていますが、そもそも初めの只管朗読は音読のみでした。そのことを考えれば細かい回数の違いなど些細なことだと思います。

 

その他

瞬間英作文を並行して回していました。短い日本語文を2,3秒で英語に直していくというものです。スピーキング能力を高めるために行っていましたが、初学者にとっては文法力を高めるための教材になります。

例えば、「This children」を初めは何とも思っていませんでしたが、この教材をしていたら激しく違和感を覚えるようになりました。正しくは「These children」ですからね。

主語が単数、複数、三人称か、それに対する動詞はどうだったかなど、文法事項にのっとった文を意識するので、Part5の対策にもなります。

 

約2か月で600点にした一番重要な勉強方法

今まで書いてきたのは、一般的な英語力の下地をつけるために行っていることで、文法特急と金フレを除けばTOEICの点数を上げる効果は微々たるものです。(2か月程度では)

私がその2か月間で行っていて最も効果があったと思う勉強法はTOEIC模試問題集をひたすらやるということです。残念ながらTOEICにもテクニックだとか雰囲気のようなものが多数存在します。それを習得するには実際の問題をやるしかありません。

リスニングもリーディングも解き終わったらひたすら音読してください。私は公式問題集Vol.6にあるほぼすべての英文を50~100回音読しました。Part1の答えだろうが、Part5の短文だろうが、Part7の長文だろうが全てです。そうしていくと問題ごとの共通項だとか雰囲気だとかがつかめてきます。さらにうれしいことに英文を頭から読んで理解していく能力がついていきます。2時間やりきる集中力もついていきます。

 

リスニングであれば、音声を聞きながらなど、気分転換しながらできますが、リーディングの長文は唯々修行でした。

しかし、この作業によって長文対策は他にまったく行わずに済みました。

まとめ

時間がたっぷり1年あるのであれば、基本的なことから下地を整えて勉強することが良いです。しかし、私のように一度TOEIC重視で初めてから自分に足りないものを見極めていくことも、また1つの手かもしれません。

実際に600点を取った後、過去問を使った勉強により、さらに3か月で700点後半まで行きました。しかし、海外の学生と話す機会などを通して自身の力不足を感じたために、上記勉強法の内、TOEIC関連のものを全て除いた勉強をはじめました。ですので、TOEICの点数を取らなくてはいけない皆さんも一緒に頑張っていきましょう。

 

シュリーマンも音読推奨してます。

学んだことから『I like apples.』を考える。

f:id:mdreon11:20200621150324j:plainPhoto by Matheus Cenali on Unsplash

 

前やっていたブログから英語学習の記事を再編集して載せています。

この記事を書いてから4年以上たっていますので、その分情報量も増やして書いていきたいと思います。

 

 

名著『日本人の英語』について

日本の英語学習者の定番本といっても差し支えない『日本人の英語』
外国人筆者であるマーク・ピーターセンが添削などを通して見つけた、日本人の典型的な英語のミス。主にその中に潜んでいる英語と日本語の考え方の違いに焦点を当てている本となります。


基本的な「a」と「the」の使い分け、単数と複数、前置詞や副詞などの考え方などを、知っていればいろんな場面で応用がきくと思います。
今回は、『日本人の英語』+『一億人英文法』と海外のgrammar知恵袋を見ながら、I like apples. -私はリンゴが好きです。- について考えていきたいと思います。

 

I like apples.

f:id:mdreon11:20200621150500j:plainPhoto by Benjamin Wong on Unsplash

 

最も正しい形といえます。

なぜ複数形になっているのか。これは簡単ですね。りんごには赤リンゴだけでなく、青りんごとか沢山種類があって、きっとこの文を発している人はリンゴであれば何であろうと好きだからです。
ちなみに英語では複数形が基本らしいです。(一億人より)

 

I like an apple.

f:id:mdreon11:20200621150638j:plainPhoto by Sincerely Media on Unsplash

 

明らかな間違い、というわけでもないらしいです。ただ、相手を混乱させるかもしれない一文になります。

例えるなら、双子が小説に出てきたけど、一切双子要素が扱われない感覚のような。

相手は種類だとか個数だとかがたくさんあるリンゴのうち、1つだけ好きなんだろう、とか考えます。写真のように、リンゴの概念ではなく、物体としてリンゴを考えています。

多分モヤモヤするはずです。
何で1つのリンゴが好きなのかわかりませんから。

1つに限定するからには理由がある、ということですね。

例文からは離れますが、I bought an apple.であればa/anが必要なことはわかりやすいですよね。この例文であれば、複数ではなく1個のリンゴしか買っていませんから 。

 

I like the apple.

theは君も私も知ってること、みたいな感じなので、いきなりthe ~ってやるとその名詞に対してピンッとくるもの、つまり一般的なその名詞のことを指していると思われます。だから、the sun とか the earthとかになります。1つしかないし、皆すぐにピンとくるものですからね

なので、リンゴ一般について学術的に語るときに使われるのかなと思います。

The apple is red 「(一般的な)りんご(というもの)は赤いです」

りんごが好き的な意味合いなら、
I like the apple he gave me.
みたいに特定する文章をつけることで正しくなります。 

 

I like the apples.

 特定する文章、状況がなければ正しくないと思います。

 

I like apple.

f:id:mdreon11:20200621150954j:plainPhoto by Louis Hansel @shotsoflouis on Unsplash

 

 

無冠詞っていうのは複数、無可算、リストアップとかで使われます。
もし、I like apple.と言えば、無可算、無可算ということは形がないということになります。
そうすると、リンゴの香り、すりおろし、切られたもの、などが浮かぶようです。
一億人英文法の中に書いてありました。

He ate a piece of apple.

「彼は(切り分けた)りんごの一切れを食べた」

appleを不可算として使ってるから、恐らくすりおろしたり、切ったりしたんだろうなって考えます。

ちなみに、調理すると無可算になり、数えたいなら、a piece of appleとかになったりします。

文語だとappleとなりまだわかりやすいですが、口語だと企業のAppleと勘違いされるかもしれません。

 

まとめ

 

文章を書くときなど、ついつい気になってしまう冠詞について説明しました。なんとなくですが、わかったでしょうか?

ぜひ文章を書くときに意識してみてください。 

 

海技士(機関)筆記試験の勉強方法

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船舶職員になるためには必須である海技士試験の勉強方法について紹介したいと思います。

今回は、商船大学、商船高専、自社養成コース向けに、私が海技士(機関)2級及び1級の筆記試験の合格した時の勉強方法について解説していきます。

 

 

海技士とは

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海技士とは大型船にて、航海士、機関士として働くために必要な免状のことです。これは「STCW条約」に基づいて整備された「船舶職員及び小型船舶操縦者法」に準じている資格です。

 

船では職位がわかれています。例えば、機関部では機関長、1等機関士、2等機関士、3等機関士とわかれ、その下に部員がいます。

所持している海技士免状によって、担当できる職位が決まります。(具体的に言えば機関出力や航行区域、社内規定にも則るため一概には言えません)

 

そんな海技士ですが、口述試験を受けるには定められた乗船履歴や条件をクリアする必要があるので、基本的には学生の間にとることは不可能です。しかし、筆記試験を学生の間に合格しておき、社会人になって乗船履歴を埋めて口述試験を受けるという方法が一般的になっています。

しかも、外航海運に進む人は、採用条件に2級海技士の筆記試験合格が条件に入っていることも多々あるため、必須といっても過言ではありません。

また、船会社に就職した人間が口をそろえて言うのは、1級筆記は在学中にとるほうがよい、ということです。海技士試験は若手の実務とはかけ離れている傾向にあります。ドッグの経験や新造船の経験などがなければまず触れないような知識や、機関長経験者ですらやったことのない項目が出てきたりします。

そのため、もし就職後にとろうとした場合、一から勉強しなおさなくてはならない項目が大量に出てくるでしょう。しかも、その勉強が休暇に来るので更に辛いことになります。

ですから、海技士2級及び1級筆記は就職シーズンに入る前には持っておくとよいでしょう。

 

勉強方法 ~準備編~

さて、具体的な勉強方法に入っていきたいと思います。

これから勉強を開始する方は1級及び2級の問題集、海技士用の英和辞典の計4冊と製図セットを購入してください。購入する本は

 

  

 

海技士の問題集は中古でも構いませんし、海技士の機関英和辞書はどれも似たようなものばかりの印象なのでこれ以外でも大丈夫です。(持ち込み可のものにする)

 

解説でわかる問題集は他の問題集とは違い、解答とは別に解説がついていることが特徴です。私の大学時代の友人は2級に関してはこれだけで合格している人も十分いました。ただし、問題点として一部解答が徹底攻略問題集と違ったり、解答がふんわりとしているなという印象です。ただ、解答についている解説は、初学者でもわかりやすく書かれており、対策問題集としてはかなり貴重な1冊です。

 

徹底攻略問題集は東京海洋大学の教授・准教授が解答を書いた問題集です。解説こそついていませんが、解答全てが具体的で、アカデミック寄りに書かれていることが特徴です。問題点として、難しい記述が多くよくわからないことが多いところです。

 

もし、金銭的に余裕があるか、近所に海事系の本がある図書館あれば、二級海技士(機関)800題 問題と解答一級海技士(機関)800題 問題と解答の問題集手を手に入れるとよいでしょう。これらの問題集の特徴は最新の問題が収録されているところです。前述した本はいずれも英語の問題がほとんどついていません。

800題シリーズは毎年出てる上、古いものであれば比較的中古でも安く手に入りやすいので、英語対策用にオススメです。英語に少しでも自信がある人であれば、本屋で英語問題を軽く立ち読みして雰囲気をつかむだけで十分かもしれません。

 

勉強方法 ~実践編①~

海技士筆記試験は暗記が全てと言われますが、実際には3分の1程度は関連付けて理解できるものです。機器の点検項目には大抵発熱とか振動がありますし、油圧機器であれば漏れにも気を付けなくてはならない、蒸気の速度の式を求める問題ならば運動エネルギーと絡めて考えるとよい、など。このような理解は、解説からではなく周回を重ねることによって見えてきます。ですから、私がオススメする勉強法は周回法及び書き込みです。

 

周回法ではノートなどを準備せずに、まず解説付き問題集を3周以上します。

1周目は適当に読んでいきます。雰囲気をつかむことや簡単な問題はここで答えられると思います。

2周目では解説を読みながら気になったところや、わかった事柄、知らない用語の意味を書き込んでいきます。例えば、蒸気の速度式を求める問題では、運動エネルギー(1/2)mv^2から変形しなくてはならないから、ルートがついたものが正解、だとかを小さくメモしていきます。

3周目以降はそれを意識しながら読み進めます。

 

このまま、この本の周回を重ねても合格は可能だと思いますが、1級へのステップアップも考え、3周目から徹底問題集へと移ります。徹底問題集は解答が難しくはなりますが、基本的には同じ問題が収録されていますので、解答の意味は同じはずです。それを踏まえながら解説付きと同様に周回をひたすら重ねて、書き込みも行っていきましょう。最終的には4日で1周できるレベルになるはずです。

 

2級にある製図と、計算問題だけは試験時期が近付いたら実際にノートにやってみましょう。どちらも走り書きでいいです。製図は大学で製図の授業を受けていればそれでもいいですが、そうでなければ、製図の本を買って勉強しましょう。私は製図授業があったので、どのような本がいいかはわかりません。ご自身で試行錯誤してみてください。製図問題も過去問から出ますし、そこまで難しい製図法は出ませんので独学でも十分だと思います。

 

勉強方法 ~実践編②~

海技士機関試験では

・機1 推進機関に関する問題

・機2 補器に関する問題

・機3 工学、材料の知識に関する問題

・執務 執務一般に関する問題及び英語

の4つに大別されています。

難易度としては私の主観で

機2>機1>執務≧機3

といった感じです。

勉強するときは、機2及び機1を優先的に勉強することによって効率的になるかと思います。

執務の英語は日本語に訳す問題となります。問題内容も機関の説明書などで、なじみのない英文となっています。私自身、1年ほど英語をかなり頑張っていた時期もあり、そこまで難しくは感じませんでした。英語は外航海運会社ではよく使うことになると思いますので、海技士とは別に勉強してみてください。私はその下地もあったおかげか機関辞書のみで難なく合格しました。

 

まとめ

以上が勉強方法となります。

基本的には問題集を使った周回が主になります。この周回法は他の勉強でも沢山の方が提唱していますが、私は山口真由氏の「7回読み勉強法」からこの方法を知り、細かい方法は違いますが、真似するようになりました。忘却曲線だとか面倒くさいことを考えずに覚えることができるのでオススメです。

皆さんの合格をお祈りしています。

よくある質問

Q. 一発と科目合格はどちらがよいか。

A. 私は海技士2級筆記は大学3年、海技士1級筆記は大学4年の時に取得しました。どちらも一発合格です。基本的に私は科目ごとの合格よりは一発で全て合格することをオススメしています。

なぜなら、科目合格の場合の合格点比率が6割なのに対し、1発であれば5割となるからです。海技士試験は問題数も多くないため、一問一問の配点が(恐らく)高くなっている傾向があります。難易度としては一発合格のほうが低いのではないかなというのが私の考え方です。

 

Q. 参考書はどんなものがよいか。

A. 基本的には問題集のみで十分ですが、海事本がある図書館があれば、適当な舶用機器の工学書を借りてみてください。問題集にはさも当然のように専門用語が使われているので、それを調べるのに使えます。しかし、ネットで調べても出てこないレベルの専門用語であれば、それは工学書で調べるよりは解答を暗記してしまったほうが早いです。

 

Q. どのような問題が出るか。

A. ほぼ問題集と同じものが出ます。一言一句違わないものがほとんどですが、1科目に1問あるかないかで新問が出ます。点検系であれば当たり障りのないことを書けばよいですが、そうでなければあきらめましょう。

 

Q. 過去1年以内の問題は出ないって本当か。

A. 嘘です。私が1級を受けた時、確かに前回、前々回の問題までは出てきませんでしたが、1問だけ3回前の問題が出ました。勉強する際に1年以内にでた問題を消すことは良い作戦ですが、絶対に出ないと考え、まったく勉強しない、といったことはないようにしてください。

 

Q. 初めから1級を受けてよいか。

A. 2級を受けましょう。会社でのステップアップ時に2級海技士を必要とされることがあります。単純に3級海技士で3等機関士、2級海技士で2等機関士、1等機関士、1級海技士で機関長になると考えれば、1級海技士を実際に取るまでに2級海技士が必要となる期間が出てくることがわかると思います。

 

船員になるには。

f:id:mdreon11:20200621143803j:plainPhoto by Andreea Swank on Unsplash

船員といわれると、漁船に乗る人を想像する方も多いかと思います。

漁船に乗る人ももちろん船員ですが、本記事では主に海運企業などに所属する船舶職員になる方法について紹介したいと思います。

1. そもそも、船員とはどのような仕事か

まったく船を知らない人が想像しやすいのは、『パイレーツ・オブ・カリビアン』に出てくるような帆船で、船長(Captain)が木製の舵輪を「ヨーソロー」と言いながら回している光景ではないでしょうか。残念ながら私はリアルでそのような光景を見たことはありません。(ただし、帆船は日本でも存在し、実習で乗れます)

実際の船員は、コンテナ、自動車、石炭、石油などを積んだ機船(タイタニックのような鋼鉄の船)で、船の運航にかかわる業務を行っています。

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Photo by Martin Cox on Unsplash

船員は主に船の運転と荷役などを担当する甲板部、エンジンやその他機械の始動、整備などを担当する機関部、事務作業や食事、医療を担当する事務部、他船や港と連絡を行う無線部があります。

船の種別や内外航によって変わってしまいますが、確実にあるのは甲板部と機関部のみになります。

無線部はほぼ存在せず、甲板部に所属する航海士が無線業務を兼任します。

事務部の事務員や船医、看護長も乗っていることはほぼなく、事務作業は航海士、機関士が行い、医療行為は「船舶に乗り組む衛生管理者資格」を持つ航海士が行います。といっても、今現在は衛星電話が整備されているため、陸上にいる医者のアドバイスを受けたり、最悪の場合はヘリコプター輸送が行われるそうで、簡単な医療行為しか行われないようです。さすがに専門ではない航海士が、複雑な医療行為をするのは怖いですからね笑。

外航船では司厨員(料理を作る人)は乗っています。港から港までが遠く素人では食料管理などが厳しい上、唯一の楽しみである食事くらいは専門の人に作ってほしいというところだと思います。

無線部・事務部は、実習生を乗せる練習船や旅客を大量に乗せるクルーズ船、そして聞く限りでは海上自衛隊海上保安庁にはあります。私はあまり詳しくありませんが、基本的には航海士・機関士になるコースとは別ですのでお気を付けください。

 

2. 航海士・機関士とは 

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Photo by Philippe Oursel on Unsplash

航海士・機関士についても具体的に解説しようと思います。

まず、航海士・機関士のほかに甲板部員、機関部員というものが存在します。

士と名の付く人たちは海技士と呼ばれる大型船のための免許(免状)を取得し、会社から職員として配乗させられた人たちのことです。 

航海士(Officer)とは船舶において主に操船(運転)、荷役、整備業務を担当しています。

操船業務では船橋(Bridge)で操船と見張りを行います。

基本的には操船は部員に指示を出して操舵してもらうか、オートパイロットで設定された針路に進みます。見張りは目視によるもののほか、レーダーを用いたものがあります。

荷役作業ではカーゴタンクなどにある荷物を降ろす作業や港の荷物を揚げる作業があります。荷物の種類によって変わってしまうため一概には言えませんが、自動車船やコンテナ船のようにほとんどの作業を港湾作業員が行うものもあります。

整備作業は船体の錆を落としたり、救命機器や甲板機器の管理、会社によって変わるかと思いますがトイレなどの整備を担当したりします。私自身が航海士ではないため、あまり詳しくはありません。

 

機関士(Engineer)は船舶において機械の始動停止・保守整備・補油作業などを担当します。

船に搭載される機械は10や100で収まるものではありません。以下に一般的な機械を列挙します。

  • 主機(Main Engine) × 1
  • 発電機・原動機(Generator) × 3~
  • 主機用ポンプ(高温冷却水、低温冷却水、燃料、潤滑油)× 3~
  • 主機用の空気圧縮機(始動、制御) × 2~
  • 発電機・原動機用ポンプ(高温冷却水、低温冷却水、燃料、潤滑油) × 0 ~
  • エアコン(空調用の圧縮機、ファン、ポンプ、復水器) × 2 ~
  • エレベーター × 1

などなど。

適当に上げてみましたが、上記だけでも30個あります。手元にある練習船の資料では壊れそうな機械を数えたところ160程度でした。ただし、これには機械に付属するポンプ類が含まれていなかったりするので、合計すれば200以上になるかと思います。

会社の船になれば、荷役機械やバラスト関係の機械が追加されるので、2倍3倍と数はふえていくはずです。これらの機械を管理していくのが機関士の主な仕事となります。

陸上にいる人には想像しにくいかもしれませんが、船の上では機械はよく壊れます。振動や潮風という劣悪な環境もありますが、沢山の機械が1航海ずっと動きっぱなしであるためです。車も1週間動かし続ければ何らかの異常がありそうですよね。

主機のような大型機械は基本的には1つしかありませんが、それ以外の推進に関わる機械はほぼ全て予備機が存在します。発電機が3つ以上あるのも、電力が足りないときのためだけでなく、1つ壊れても大丈夫なようにです。

補油作業は船の燃料や潤滑油を補充する作業です。

 

3. 船員になる方法 

では、本筋である船員になる方法について解説します。

船員の中でも、船舶職員になるには海技士という資格を持っていなくてはなりません。

航海士であれば海技士(航海)、機関士であれば海技士(機関)の資格が必要となりますが、これらは一般的な資格とは違い、原則実務経験(乗船勤務)を必要としています。内航(国内)貨物船に従事する場合は4級、外航(海外に行く)貨物船に従事する場合は3級が基本となります。

部員として決められた総トン数や航行区域、出力(機関の場合)の船で3年間勤務すれば海技士4級が取得できるそうです。Wikipediaを見ればわかりますが、条件等も多く、複雑に見えます。しかし、基本的な内航船に乗っていればクリアできる条件ではあります。

海技士は6級からありますが、総トン数が10トンなどと書いてあることから、漁船やタグボートなどを想定したものなのかなと思います。正直よくわかりません。

 

海技士は学校に通い、乗船履歴を満たして口述試験を受ける方法が一般的になります。 

・海洋、水産高校、海上技術学校では3年6か月で4級海技士が取得可能。(ただし機関は内燃機関限定)

・商船高専では、5年と6か月で3級海技士が取得可能。

海上技術短期大学校では2年で4級海技士が取得可能(機関は内燃機関限定)、さらに海技大学校に進めばもう2年で3級海技士の取得可能。

・神戸大海事科学部、東京海洋大学海洋工学部では4年と半年で3級海技士が取得可能。

東京海洋大学海洋科学部、長崎大学水産学部鹿児島大学水産学部では4年修業後、東京海洋大学の水産専攻科で1年修業することによって海技士3級(航海)の取得可能。

水産大学校では4年と専攻科1年で海技士3級の取得可能。

東海大学では、4年と半年で海技士3級(航海)が取得可能。

日本郵船商船三井川崎汽船という大手海運3社では、自社養成コースにより一般大学(有名大学が基本)から船員を志す学生を取り、入社3年目に3級海技士が取得可能。

他の海技士取得方法には、未経験で内航船舶に就職後、尾道海技学院といった養成機関で育てるものなどがあります。

上記の方法全て海技士筆記試験及び乗船履歴が免除となり、口述試験(面接)のみで資格が取れるコースとなっています。

 ※私自身商船大学出身のため、特に4級海技士近辺は古い情報かもしれません。各学校をしらべることをオススメします。

4. どの方法がいいのか。

どの学校がいいとか、この学校は就職時に大変だとかはありますが、各々の人生プランや経済状況、乗りたい船などによって大きく異なりますので、ここが一番と断じることはできません。

とりあえず、外航船員として就職できるコースというのは私の勝手なイメージではありますが

神戸、東京≧自社養成コース>商船高専>水産系大学≧水産大学校

といった具合になっていきます。

大手の海運会社となっていくと、海技者として陸上勤務がありますので、陸上でも手腕を発揮できるようにか大学出身の人間が多くなります。

自社養成コースは出身大学が東大だったり一橋大だったりとエリートの方が多いですが、まだ始まったばかりのシステムで、日本郵船では今年ようやく初めての船長が誕生したほどです。なので、今後増えていきはしそうですが、まだ当分模索の日々が続きそうです。

商船高専も古くからあるため、よく見かけるイメージがあります。朧気ではありますが、某船会社では海上職を中心にずっとやっていく社員の採用が計画されており、それを主に商船高専からとろうと考えているという話を聞きました。正直とん挫したのかどうかはわかりませんが…。会社の考え方にもよるのでしょうが、準大手では商船高専出身の方がよくいます。

水産系大学は航海士のみの養成ということや4月入社なども関係するのかあまり見かけません。特に航海士は倍率が高い職種になりますので、機関士より就職が難しいです。商船系のように専門ではなく、水産を学びながら船を学んでいることや、あまり歴史が古くないことも関係あるのかもしれません。

水産大学校は航海士・機関士の養成を行っていますが、あまり見かけたことはありません。水産大学校だけ他の学校と違い単独で考えていることもあるので、絶対数こそ少なくても比率的には多いのかもしれません。

 

5. 学校に入った後の流れ(商船大学)

では、ここから実際の船員になるまでの流れを東京及び神戸の商船大学の例で紹介します。

東京は入学する学科によって航海士になるコースと機関士になるコースにわかれます。といっても1年次は基礎教育科目がほとんどの上、乗船実習も航海士機関士両方について学ぶので、転学科することによってコース替えは可能です。

神戸大は2年次進級で学科選択があるので、そもそも入学時には決まっていません。マリンエンジニアリング学科を選択後、さらに機関コースか航海コースへと進んでいきます。

乗船実習が4年生の終わりまでに合計6か月あります。1回の乗船は1か月か2か月となり、1年に1回程度となります。大学を卒業し、学位を取得後、乗船実習科と呼ばれる半年間の専攻科へと進みます。こちらは2か月程度の乗船が2回となります。ちなみに乗船実習に使われる船は大学の船ではなく、海技教育機構の船となります。帆船である日本丸海王丸か機船の銀河丸、青雲丸、大成丸のいずれかの船にのって実習を受けます。この海技教育機構には東京、神戸のほかに商船高専、海技短大、尾道海上技術学校、自社養成の方も乗り合わせますので、多様性にあふれています。

遠洋航海と呼ばれる海外に行く航海は乗船実習科からになります。海王丸と呼ばれる帆船で帆走と機走を駆使して、海外へと向かいます。昔はハワイやバンクーバーなどでしたが、最近はオーストラリアあたりが多いようです。

乗船実習を修了後は10月に口述試験を受けて、合格すれば会社に入社します。入社後の流れは様々ですが、タンカーなど危険物搭載船では第二海保での消火訓練を受けたり、ほかにも船舶衛生管理者資格のための研修だとかを受けていきます。会社の船が港に着くタイミング、ほかの船員の配乗の具合などを見ながら乗る船が決まります。12月から翌年の1月ぐらいに乗るかと思います。

その後は会社のプランに合わせて乗船を繰り返す流れとなります。

なお上記流れは大手三社以外の会社の場合の話です。大手の場合は乗船実習科ではなく会社の船で訓練を受けていきます。

 

6. まとめ

船員という仕事、船員のなり方についてわかったでしょうか。

海上職は身近で手に入る情報が少なく、また船員を紹介しているサイトも古い情報だったり、内航と外航では違うことが一緒に紹介されていることもあります。特に外航船員は日本国内では3000人前後の上、若い世代(30代以下)となると1000人を切るような職種です。

ぜひ興味がわいた方は自分なりに調べてみるとよいかもしれません。

 

7. 参考文献(というよりは見ておくとよいサイト)

www.kaiyodai.ac.jp

www.kobe-u.ac.jp

www.jmets.ac.jp

大型船舶を運航するためには(海技士)

 

j-crewproject.jp